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俺は、極度の引きこもり体質である。一応魔術師ではあるが家のなかで研究が出来ていれば充分だ。
魔術学校はそれでもなんとか通って卒業したのに、今ではほぼ引きこもり生活だ。
親しい友人は居ない。
暮らしは国の登録魔術師の支援金が少しと、それがどうしてもそこをついた時だけ仕事を受ける。
ギルドにはどうしても入ることが出来なかった。
兎に角コミュニケーションというもの全般が苦手だという自覚はある。
しなくて済むのならしたくないとも思っている。
別に魔導書が読めて、最低限の食事ができればそれで充分だったのだ。
できれば可愛い赤髪の精霊ちゃんの召喚チャンスが巡ってくれば最高だったが、あんなもの運がなければ無理だ。
だから、適当に引きこもっていられれば良かった。
なのにも関わらず、国王からの招集命令を受けたのはつい数日前のことだった。
「なんでだよ。俺が何をしたっていうんだよ」
魔王が復活して、戦争になるかもしれないという噂は知っていた。
実力のある魔術師が招集されて戦になるという話も聞いた。
けれど、全く実績の無い自分の元にまで招集がかかるとは思っていなかった。
「来月の月刊魔術師の『可愛い水性妖精ちゃん』特集が!!」
誰もいない村はずれの一軒家で泣きそうな声を上げる俺は傍から見てかなり哀れな生き物に見えるだろう。
けれど、妖精オタクを辞めるつもりは無かった。
可愛い妖精ちゃん達を見ているときだけが生きがいだった。
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