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「もう、こっちでひきとっちゃったら?彼女」
ユナが相変わらず面倒そうに提案する。いや、駄目だろう。だって彼女は本当に魔族の討伐をするつもりでいるのだ。そもそもの目的が俺達と違いすぎる。
「それにさあ、パーティ内にカップルがいればそりゃあ遠慮もするしギクシャクもするでしょう」
この二人とパーティだったら、考えてみたが目の保養だなとしか思わなかった。そもそも相手が誰であろうと俺がギクシャクしないで上手くやれる訳が無い。
「まるで二人だけなら上手く旅ができるって物言いだね」
様子をずっと黙ってみていたアルクが口を開く。ただ、それは挑発的で何の解決にもならない様に見えた。
「無理があるだろ?だって君、勇者の血かなり薄いだろうに」
相変わらず淡々と距離感の無いことを言うアルクに、金髪ちゃんは眉間にしわを寄せ睨み付ける。
「どうせ死ぬなら二人でも三人でもいっしょだろう」
アルクに言われ、金髪ちゃんは激昂して叫ぶ。
「アンタに何が分かるのよ。恵まれた勇者の資質を持っているアンタに!」
それを聞いてもアルクの目は相変わらず死んだ様で、ただ溜息をつくだけだった。
先程まではほとんど興味の無かった温泉に今は肩までつかって、全てを忘れてゆっくりしたくてたまらなかった。
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