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魔術が形成される瞬間、光になって散っていく魔力は儚くて、流れ星の様でこの瞬間のために生きているという気分になる。
魔力の過剰排出のためもう立てない。
半ば四つん這いの恰好で魔法陣に魔力を流し込み続ける。
もはや塔の中はまばゆいばかりに光っている。
契約のための詠唱を始める。
これは祝福の歌だ。契約の言祝ぎだ。
魔法陣はより一層輝きを増して、魔力が渦を巻きはじめる。
異界への門、といっても実際は門の形等しておらず単なる亀裂だが、それが静かに開かれる。
俺の体から伸びる契約の鎖があちら側の誰かと繋がった。
光が弾ける様に飛び散る。
そこに現われたのは赤い髪の毛が印象的な精霊だった。
美しい女性の姿をしたその精霊は薄い絹の様な素材のドレスを着ていた。
胸を強調したドレスは足首まで有りひざ下は透けていてとても扇情的だ。
「なに、アンタ。ニヤニヤほんと気持ち悪いんだけど」
顔をゆがめながら憧れの赤髪の娘に言われ、魔力が枯渇し何とか保っていた意識がぶっつりと途切れた。
ホント、人生はままならない。
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