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松山はじめ愛媛は文学と縁がないこともない県だ。
ノーベル文学賞受賞者の大江健三郎は、愛媛の内子の出身だし、最近の文学賞受賞者だって輩出している。
俺が好きなミステリ作家で愛媛出身の奴もいたはずだ。
今は文豪が擬人化?(元々人だが)で人気を博していることもあるし、そこにさっこん流行りのスタンプラリー方式だとか、ミステリゲーム方式を盛り込めばいいのではないか。
このド田舎ではお目にかかったことがないが、東京にいた時分は新宿の伊勢丹とかで「ミステリーの夜」と題し、よくそういった参加型のミステリゲームが催されていたものだ。
それを県の規模で、文豪絡みの謎で、全域に渡って開けばいいのではないか?
今思えばなんとまあ安直な手垢のついた発想だったと思う。
しかしそれ以上に古い頭の上司たちはこのアイデアの古さにどうも気がつかなかったらしく、稟議書に判を押してしまったのである。
よって、今現在、『えひめ ミステリーツアー』の添乗員として、県庁代表の俺が出張ってきているわけだった。
県全域に渡る催しなので、支局の人間や、JRさんにもご協力いただいているわけである。
「だから、憂鬱なんですよ」
「自分が企画したから憂鬱?」
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