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元々、都会への強い憧れがあった。
生まれたのは愛媛の東端、四国中央市。
紙の街。
ユニ・チャー○や大○製紙なんかが代表的だが、そうじゃない材料紙を作っている企業も多い。
この市一つの製造品出荷額で高知県全体の額を上回るとも聞く。
数年前から第二子以降への無料紙おむつ配布とかもやっている。
親父もそういう街を支える工場の一つで働いており、工場勤務ならではの不規則な生活を送っていた。
俺が生まれた時も顔を見ただけで、すぐに夜勤に戻ったらしい。
母も製紙業に関係した内職を持ち、この街を支えている。
そういう、何と言うのか、余りに強い「地域」色に囲まれて育ったものだから、大人になったら絶対にここを出ていこうと決めていたのだ。
事実、それほど高くない偏差値の高校で必死で勉強し、都内の有名私大へ進学した。
学校が運営していた無利子の独自奨学金をも勝ち取った上でだ。
両親に迷惑をかけることなく東京に出ることが出来たと思う。
学生時代は、それまでの真面目生活の反動からとにかく遊びまくった。
適度に友人を作り、ファッションを覚える。
飲み方や街の雰囲気を肌で感じ、バイトも何件も掛け持ちした。
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