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初めての彼女もでき、人間関係の機敏を学んだ。 高田馬場で何度も酔いつぶれたのはいい思い出だ。 勉強はしなかったが神保町には通い、三○堂で度々開かれる古店市には必ず顔を見せた。 秋葉原は庭と呼べるくらい熟知したと思う。 わざわざ多摩の方まで出かけていって、修行と称して自然と遊び倒したこともあった。 そして。 就活の時期がやってきたわけである。 俺としては今さら愛媛に帰るきなどこれっぽっちもまったくかけらもなかった。 周りも東京就職一筋だったし、例え地方であれ学歴に見合った上場企業を選んだものだ。 しかし俺には本気度が足りなかった。 就職留年をすることになった俺は、当人にはやる気もないのに、公務員試験を受けることになった。 22歳にもなって、親が言うから受けるかみたいな気でいたのである。 予備校に通いもせず、ぶらぶら遊びながら過ごす日々。 思うに民間以上に公務員試験って奴は鬼門で、何年も勉強してまんべんなく対策した奴が落ちることもある。 その特異性は、特に面接試験で顕著だろう。     
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