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「――――本日はこれで終わりにします」 講義が終わると隊士達は散り散りに稽古やら休憩だと部屋を出ていく そしてその中で、師範である伊東はとある人物を探す 「今日の講義はいかがでしたか?――蛍さん」 伊東は目当ての人物である橘蛍を見つけると、嬉しそうに目元を細めた 「私は倒幕や佐幕など深く考えたことがなかったのでとても面白いです。」 蛍はなるべく伊東の横を視界に入れないように伊東に話しかける 「兄上!やはり俺はこの者がここにいる事に納得がいきません」 原因はこの男、伊東の実弟である鈴木三樹三郎。何度か参加した伊東の講義で鈴木に会うことはなかったのだがついにその時が来た。と言ったところだ。 伊東の顔を立ててなのか、人前で蛍に対して女という言葉を使う事は無かったが相当嫌っていると言うことは誰が見ても分かるほどだった。 そう、ここは新撰組屯所。女人禁制である。そして蛍は紛れもない女性である 「せめて、試合をさせてください。この者の力量を見れば兄上もお考えを改めるはずです!」 「三樹、落ち着きなさい」 鈴木を宥める伊東だが、話は蛍の意見も聞かないまま試合をするという方向で話は纏まった。
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