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ある夜、ステラは隣の部屋の物音で目を覚ました。
隣は姉リュンヌの寝室だ。リュンヌは20歳になり、結婚が決まっている。
こんな夜中に何の音だろう。ステラは灯りを持ち、リュンヌの寝室をそっと覗いてみた。
「…………!」
ステラは驚きのあまり、灯りを落としてしまった。その音に男が振り返った。黒いマント姿に青白い端正な美しい顔。だが、その口からは真っ赤な血が滴り落ちていた。そして、リュンヌの首筋からも血が流れていた。
その男はマントを翻し、ステラに歩み寄った。凍えるように冷たく、だが美しい瞳に見据えられ、ステラは一瞬身動きが取れなかったが、ハッと我に返り、部屋から飛び出し、階段を駆け下りた。
「お父様! お母様!」
ステラの声に1階の寝室で眠っていた両親が目を覚ました。
「ステラ! どうした!?」
「お姉様が……!」
3人でリュンヌの部屋に駆け上がると、そこにはもう男はおらず、ただ、リュンヌが首から血を流してベッドに横たわっていただけだった。
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