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「おはよう。・・・雛人」
僕はそう言うなり雛人くんから目をそらし、少し目に掛かった長めの前髪をいそいそと撫で付けた。
僕のその様子を見て雛人くんはクスクスと笑い、僕の真横に来て閉めかけの門をじっと見つめ見た。
「門の閉まり・・・悪いんですか?」
「うん。最近、調子が悪いんだ。直さないと駄目かも・・・」
僕は雛人くんにそう答えて閉まりの悪くなった門を半ば力任せに閉めようとしてみたけれど、うまくいかなかった。
本当に直さないと駄目かも・・・。
そう心の内で呟いていると雛人くんの大きな手が僕の手をそっと包み込んだ。
あ・・・。
そう漏れそうになった声を僕は慌てて呑み込み、息を止めた。
僕の心臓はドクドクと慌ただしく高鳴っていた。
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