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「夏希ちゃん…」
「……」
あたしは壁を向いた夏希ちゃんの背中にぴったり身を寄せた。
「ごめんね」
取り合えず謝っておこう。
同窓会は正直行きたいわけで…
だから行かないってのは無理──。
学生時代、かなり仲の良かったあたしの学級は、纏め上手な委員長の丸山のお陰か、毎年地元で同窓会を開いていた。
もちろん多恵ちゃんとあたしは毎年出席組み。
そして高槻だけは今回が初めての出席になる──
あたしは夏希ちゃんの背中を後ろから抱き締めた。
さあ困った…拗ねてしまった夏希ちゃんの機嫌をどう直そうか──
肩幅のある後ろ姿。細身に見えてたけどこうやってみればやっぱり男だ。
抱き締めた背中に頬を充てて体温を味わうようにおでこをすりすりした。
夏希ちゃんは腰に回っていたあたしの手に自分の手を重ねてきた。
上から覆った手の平でぎゅっと握り締め、指を絡めては手の甲を撫でる仕種を繰り返す。
まるで肌の感触を確めるかのように──
暫くそうしていると夏希ちゃんはくるっとあたしの方を振り返った。
あたしの背中に夏希ちゃんの腕が回ってぎゅっと抱き締める。
胸に顔を埋めるようにしてあたしも夏希ちゃんに抱きついて、胸板に頬擦りした。
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