5章 愛の天秤

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・ 頑なに禁欲する夏希ちゃん。 出家でもするきなんだろうか…… なんて思わせる程の強情っぷり。 ムキになって貫こうとする辺りが、結構可愛い── 夏希ちゃんなりにあたしを大事にしようとしてくれてるんだよね? ありがとう。。。 重ねた唇をゆっくりと離す… 熱いため息が長く吐かれ、夏希ちゃんの綺麗な瞳が濡れてくる… あ……スイッチ入ったかな… そう読んだ途端 「なんでそんな可愛い顔して見つめるわけ?苦しいじゃん、俺……」 夏希ちゃんは掠れた声で低く囁いた。 苦しいんならヤっちゃえばいいんだよ? 何に誓ってそんなに我慢するのかねチミは? なんて思わず問い質したくなる。 しょうがない── その箍、あたしが壊してあげちゃうかな? 「夏希ちゃん…すき…」 「……っ…」 夏希ちゃんは目を見開いた。 ちょっと苦しそうに綺麗な顔が歪んでいく。 胡座をかいて下を俯くと夏希ちゃん小さく呟く。 「今それ言ったらダメっ…」 「……?」 「我慢できなくなるっ」 「今言わなかったらいつ言うの?」 「……っ…でも今はだめっ」 胡座をかいた膝がモジモジ揺れている── 「わかった」 夏希ちゃんなりの思いがあるんだろう… じゃあ、あたしも禁欲するかっ! 夏希ちゃんの仕草を見てなんだかフフッと笑みが漏れた。
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