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「あ、あ~…そう…な、何しにくるんだろうね…はは…」
多恵ちゃんっ!話題変えてくれっ…
あたしは強い念を送った。
「何しにって同窓会にじゃんっ」
そりゃもっともな答えだっははっ!…
「てかさ、丸山君に聞いた話なんだけど…」
「うん、」
「出席の最終確認したら、晶は来るのか?て聞いてきたらしいよっ」
──っ…ひいっ…
これ以上なんだかヤバい気がするっ
携帯を耳に充てたままあたしはトイレに行こうと立ち上がった。
夏希ちゃんは咄嗟にあたしの腕をつかんで強く引き戻す──
「ここで話して」
強引に引き戻されてベットに座り込んだあたしの背中から抱きすくめると後ろから小さく囁いた。
携帯にはしっかりと夏希ちゃんの耳が寄せられている……
高槻 一哉──
高校の時に付き合っていたそれこそあたしの元彼だ。
高校を卒業した後にお互い地元を離れ、元彼は他県の大学に──
あたしは多恵ちゃんの大学進学に付き添うようにしてフラッと都会に出た。
卒業旅行を最後にバイバイした。
言ってしまえばこっちへの上京は高槻と別れた後の長期の失恋旅行のようなものだった…
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