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「僕が誰か・・・ですか」
二人の男はたじろぎ始めていた。
「僕の名はカドワロン、地母神ダヌに仕えるドルイドにして・・・」
旅の少年、カドワロンは言いながら二人に右の掌を向けた。
「新たなブレトワルダを探し求める者です」
二人はその身を強張らせて、息を呑んだ。
「・・・イアー」
カドワロンの呪文が、小さい声ながら辺りに響いた。
シュパッ!
「それはちょっとしたお仕置きです?」
カドワロンがニコッと笑った。
「「へ?」」
一瞬、なんのことか分からなかった。先ほどのように光も何もなかったからだ。しかし、それが余計に怖い。二人が恐る恐る互いの体を見ると、二人の両手が凍りついていることに気がついた。
「早く溶かさないと、凍傷になりますよ」
カドワロンの言葉を聞くと、二人は声にならない悲鳴を上げて走り去っていった。
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