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「言いたくないでは済まないんだよ、ライラ君」
突然、部屋のドアを開けたのはレドワルドだった。後ろにベルガも控えている。
「レドワルド様!どうしてここに」
ライラは慌てて跪いた。
「まあ、楽にしてくれ」
ゆっくりレドワルドは入ってきた。
「大切な姫君が殺されかけたとあっては、黙って座っているわけにも行かないだろう」
ライラはゆっくり立ち上がり、レドワルドと対面した。
「他国の間者かもしれんしな」
レドワルドは軽く肩をすくめておどけてみせた。
「さて、その顔でも・・・」
ライラからゆっくりエドウィンへと視線を移してゆくレドワルド。
「!!」
その目を見た瞬間、レドワルドは全てを理解した。体が固まった、石膏の如く。
「エドウィン・・・」
呟くと即座にレドワルドが剣を抜いた。
「お兄様、乱暴なことはしないと約束したではありませんかっ」
ベルガがレドワルドの前に立ちはだかる。
「どきなさい、こいつを生かしておいてはならぬのだ」
「何故です」
レドワルドの覇気に負けないほどのベルガの見幕。
「この少年はな、お前を殺そうとしたこいつは・・・」
言葉が詰まった。レドワルド自身、認めたくないようである。
「デイラ国の王位継承者、エドウィン王子なのだよ!」
レドワルドの言葉が部屋に一瞬の沈黙を呼び込んだ。
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