困惑するマリア

3/11
前へ
/151ページ
次へ
  横で話を聞いていたタケルは、 「少なくとも争いにはならなそうだな」と少し気持ちを緩ませる。 ヘファイストスの特徴を聞いたサルペドンは、 その事自体、気にも留めていないようだ。  「神話でも、かの神は足が悪いとされているからな、  遺伝的なものかもしれん。  別にマリアは首を傾げることもないと思う。」  「あ、はい、それもそうなんですが他にも・・・。」  「急がせはしない、  自分で納得できるように話してみろ。」 そこで以下、マリアが見聞きしてきた様子を簡単に叙述してみよう。 まず、マリアたちが村に着くと、すぐに村人たちが集まってきて、 ヘファイストスと面会する段取りがつけられた。 ヘファイストスがやってくるまで、 彼女たちの元に、 「ポセイドン様は来ているのか、元気でやっていらっしゃるのか」という、質問の嵐に襲われたが、 そこは「知らない」としか言いようがないので、少し後ろめたかったそうだ。 少ししてから、ヘファイストスと思しき男がやってきたのだが、 荷車に乗った猫背の彼は、やたらと頭を下げて、まるで召使のようであった。  
/151ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加