パキヤ村へ

6/9
前へ
/151ページ
次へ
  そしてこの後、斥候を放つわけだが・・・ いや、もう斥候と呼ぶほどこれより先の地形は危険そうも無い。 既に街道は石で舗装され始め、人間の手がそこかしに刻まれている様相も見える。 ここから先の役目は伝令と言えるだろう。 そこでマリアを責任者として、グログロンガを護衛、 さらに部下を一名つけて、交渉に向うべく彼女たちは本隊を離れた。 果たして、交渉の結果はいかに・・・。 さて、交渉の結果を述べる前に、 彼女たちを待ち受けるパキヤ村の主・・・ヘファイストスに目を向けよう。 元々はこの村、ポセイドンの領地であり、 やはり「大地の神」の異名を持つが如く、 豊かな水資源と、それを背景とした広大な領地からは多大な食料を産出する。 農地の収穫量はデメテルの村には劣るものの、 牧畜にも適したこの村は、 主に、肉やチーズなどの動物性タンパクの供給でも、 ピュロス全体に多大なる貢献を行なっている。 その施設や宮殿も、ポセイドン時代のものとそう変化はないが、 ここ、オリオン神群の居室だけは違う。 それまで開放的だった空間は、窓を閉められ、隙間は閉ざされ、 申し訳程度の空気取り入れ口を残した工房となっている。  
/151ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加