パキヤ村へ

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  もう、100年近く前の話になるが、 新しいヘファイストスが、この場所を自分専用の部屋に改造してしまったのだ。 大きな窯と、鋳造に使う数々の巨大な工具・・・。 そう、このヘファイストスの特殊技能は武器作り・・・。 彼は鍛冶の神であり、 オリオン神群の神々が持つ多くの武具が、 ここパキヤ村のヘファイストス神殿内の工房から生まれたのである・・・。  「・・・ヘファイストス様!」 この村の神官であろう一人が、その主を呼びに部屋をノックした。 だが、中の部屋では作業中のためか、なかなかその声に気づかない。  「ヘファイストス様!?」 ようやく、部屋の中の槌を振るう音が止む。  「うむ?  誰か呼んだかね、呼んだかな?」 そこでようやく神官は扉を開け、ヘファイストスに用件を告げる。  「失礼します!  ・・・ついにポセイドン様、いえ、ポセイドンの軍勢がやってきたようです!」 そこで体の動きを止めたヘファイストスは、 しばらく考え込んだ後、 その手につかんでいた工具を床に置いた・・・。    
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