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1.出会いと別れ
あの頃の俺は、まだとても小さかった。
体も心も魂も、その目に映る全てのものさえも。
それは、七年前。
長い夏が終わり、短い秋が始まろうとしていた。
「――この世界に存在する、あらゆるものには、魂が宿っているの。人間、動物、植物はもちろん、水や空気、この町を形作っているレンガ一つ一つだって、ちゃんと命を持っているのよ」
赤レンガを綺麗に並べ、積み重ねて形成された町並み。
どこかから伸びてきてレンガにまとわりついている、蔓草の細い茎やハート型の緑葉が、単調な町並みに新鮮な彩りを加えている。
まるで、御伽話の舞台にそぐわしい、単調で小綺麗な町。
その一角で、幼くかん高い、楽しそうな声が響く。
まるで高名な演説者のように胸を張って、見知らぬ女の子が、延々と講釈をたれていた。
「無機質なものたちの魂を成長させ、意志を持たせる。その魂を抜き取り、疑似の媒体に移しかえることによって、新たなる生命を生み出せる。それが、魂学の根本的な概念なの」
紫がかった光沢を持つ、長い黒髪。
瞳は紫色の輝きを持つ、大きな宝石みたいだ。
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