愛情より深い友情

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引き寄せられ、塞がれる唇。そのはずみでひとつに纏めた髪が解け、弓形になった背中で左右に大きく揺れた。零士先生はそれを指に絡めながら私の体をソファーに倒し、また情熱的なキスで唇を塞ぐ。 「俺のマンションへ行こうと思ったが、我慢できそうにない。ここでいいか?」 細めた熱っぽい瞳に見つめられ、切羽詰まった声でそんなこと言われたら、頷くしかない。 普段、クールな零士先生がまるで別人みたいに余裕のない表情で私を見つめている。そのギャップが堪らなくてつい「可愛い……」と口走ってしまった。 すると首筋に唇を這わせていた彼が驚いたように顔を上げ「女に可愛いなんて初めて言われたよ」と微かに笑う。その笑顔が最高に色っぽくて思わず見惚れてしまう。 ダメだよ。そんな目で見つめられたら……私、もう…… 彼の刺激的な熱視線に反応し、体内のアドレナリンが一気に放出され、全身がジンジンと痺れてくる。そうなるともう羞恥という理性は完全に崩壊。自ら零士先生の手を取り、激しい鼓動で波打つ胸に押し当てていた。 「つい最近まで処女だったと思えないくらい大胆だな」 「あ……」 一瞬我に返り頬が火照る。でも、一番驚いてるのは私だ。自分がこんな風になるなんて…… 「……大胆な女は嫌い?」 恐る恐る聞いてみれば、やんわりと口角を上げ、掠れた声で囁いた。 「いや、希穂がすることは全てそそられる」 「……零士先生」 さっきまで薫さんのことで不安になっていたのが嘘のように安心感に包まれ幸せな気分になる。 あぁ……私、零士先生に愛されているんだ……
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