あなたの傍に居たくて……

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予定では、薫さんも一緒にパーティーに出席するはずだったのだが、今朝早く薫さんから零士先生に電話があり、館長がまた入院することなったので今日のパーティーは欠席すると言ってきたそうだ。 「薫の親父さん、誰も居ない昼間にこっそり酒を飲んでいたみたいだな」 館長の様子がおかしいことに気付いた薫さんが救急外来に館長を連れて行き、検査の結果、即入院になってしまったらしい。 全く、何やってんだか……館長ってホント懲りない人だ。 「自業自得ですね」 「まぁそうだが、もうすぐArielの個展が開催されるんだぞ。それまでに退院してもらわないと困る。Arielサイドは、親父さんに感謝を込めて矢城ギャラリーで個展を開催したいって言っているんだからな」 「あ、その話しなら館長から聞いてます。十年くらい前、館長がパリで絵を辞めようとしていたArielを励ましたって……」 「そうか、知ってたのか」 「はい……」 Arielの代理人は、今のArielがあるのは、あの時、苦しくても好きな絵を辞めるなと励ましてくれた館長のお陰だと凄く感謝していて、矢城ギャラリーで個展が開催された際は、どうしても直接館長にお礼が言いたいと言っているそうだ。 「Arielの個展まで後一週間……それまでに退院してくれるといいんだが……」 不安気な表情の零士先生がため息を付いた直後、タクシーが細い路地に入り、雑居ビルの前で停車した。 「このビルの二階がライブハウスだ」
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