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タクシーを降り、零士先生の後についてスポットライトに照らされた急な階段を上がって行く。
「ここのライブハウスのオーナーも桔平の店の常連でな、お祝いに無償で場所を提供してくれたそうだ」
そう言った零士先生が店の扉を開けると、フロアに入るのを躊躇してしまうほど既に多くの人が集い、熱気ムンムンだった。
ライブハウスってこんな感じなんだ……と呆気に取られていたら、零士先生が徐に私の手を握り歩き出す。そして人をかき分け、ようやくたどり着いたのは、飲み物を提供しているカウンター。
なんでも好きなモノを頼んでいいと言われたが、前後左右から人に押されメニューを確認することもできない。取りあえずジンジャーエールをオーダーし、零士先生から離れないよう彼の手を強く握り締める。
「凄い人ですね……」
苦笑いを浮かべジンジャーエールを渇いた喉に流し込むと「零士!」という声がして桔平さんが近付いてきた。
「よう、忙しいのに来てくれて有難う」
「あぁ、今日は楽しませてもらうよ。それにしても凄い人だな。こんなに常連が居るとは驚きだ」
「中学や高校の同級生も何人か来てくれてるんだよ。懐かしいヤツも居るはずだ。見掛けたら声を掛けてやってくれ。それより、薫が来れなくなったのは残念だな」
「親父さんが入院したからな……仕方ない。お前に宜しくって言ってたよ」
ふたりの会話が弾む中、私は行き交う人に押されもみくちゃ状態。やっと私に気付いた桔平さんが「ちょっと騒がしいけど、ゆっくりしていってね」と申し訳なさそうに微笑み、慌ただしく他の常連客の所へと移動して行く。
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