あなたの傍に居たくて……

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そして激しく動揺する私の耳に飛び込んできたのは、桔平さんの「薫は今でも好きなんだよ」という衝撃的な言葉。 それだけでも足がガクガク震えるえて立っているのがやっとだったのに、項垂れた零士先生が「俺のせいだ」って言うから目の前が真っ白になった。 ふたりはお互いを親友だと言い、恋愛感情はないってキッパリ断言していたのに……過去に何かあったってこと?  騙されていたのかもしれない……そう思うと、これ以上話しを聞いているのが辛くて逃げ出したい気分だった。でも、本当のことを知りたくて必死の思いで踏み止まる。 その後、桔平さんは何度も零士先生のせいではないと言っていたが、零士先生は何も言わず黙り込んでいた。 「一応、零士の耳に入れておいた方がいいと思って話したんだ。お前を責めているワケじゃない」 「あぁ……分かってる」 「やっとお前に彼女ができて俺も安心していたのに、薫がまだ吹っ切れてなかったとはな……まさかの展開だよ」 桔平さんの話しぶりで、未練があるのは薫さんだけ。そう思ったのだが…… 「吹っ切れてないのは、俺も同じだ……」 零士先生の切なげな声に愕然とし、胸に抉られるような強烈な痛みが走る。 ふたりはまだお互いを忘れられないでいるんだ…… 全身の力が抜け、膝から崩れ落ちるようにその場に座り込んでしまった。そこに、愛花さんのあの舌っ足らずの声が聞こえてくる。 「――彼女といえば……希穂さんにあのこと、まだ何も言ってないんですか?」
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