あなたの傍に居たくて……

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「そうなんだ。でもさ、あのふたりって変な関係だよね」 「変な関係って?」 「ヤダなぁ~知ってるでしょ? あのふたりは中学の頃からいつも一緒で、今も同じ職場で働いているのよ。なのに結婚する気配がないっていうのはどういうことなんだろう?」 そこまで言うと女性は辺りを見渡し、声のトーンを少し落とす。 「それに零士君と薫の間には子供が居るのよ。子供の為にも籍を入れようとか考えないのかしら?」 「だよね。子供が産まれた当時はまだ十六歳で結婚は無理だったけど、もういい大人なんだし、中途半端のままじゃ子供が可哀想よね」 あ……飯島さんも同じことを言ってたな。あの時は、零士先生と話しをして彼を疑った自分を恥じたけど、さっきの話しを聞いてしまった後では、あれも嘘だったのではと疑ってしまう。 もしかして、愛花さんが言っていた私がショックを受けることって、環ちゃんのことだったんじゃ…… 今思えば、私が環ちゃんの父親は零士先生なのではと彼を問い詰めた時、俺を信じてないのかと切り返され、父親ではないという明確な否定はなかった。で、環ちゃんが学校でいじめられているって話しになったんだ。 もし愛花さんが言っていたことが環ちゃんのことなら、どうして私が聞いた時に認めてくれなかったんだろう。私はそれも全て受け入れた上で零士先生の傍に居たいと思ったのに…… 零士先生は、自分のことを信じてないって私を責めたけど、零士先生だって私を信じてないってことじゃない。
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