あなたの傍に居たくて……

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それに、薫さんとの関係もそうだ。あんなに頑なに恋愛感情はないって否定したのに…… あ、そうか。薫さんと過去に関係があったと認めれば、環ちゃんの父親という疑惑も出てくる。それを避けたかったから認めたくなかった…… けれど、環ちゃんが産まれた当時から今に至るまで、環ちゃんの父親は零士先生ではないかという噂は消える事無く囁かれ続けている。零士先生もそういう噂があるのは知っているだろうし、当然、私の耳に入る可能性があるってことも分かってたはず。 現に飯島さんや目の前の女性達から聞いちゃったし……そんなすぐにバレるような嘘を付くなんて零士先生らしくない。 零士先生の考えていることが分からず困惑していると、また前の女性ふたりの会話が聞こえてきた。 「でもさ、薫の子供ってもう高校生でしょ? 思春期の難しい時期じゃない。今になって突然、この人があなたのお父さんよって言われても受け入れられるかどうか……」 「あぁ……なるほどね。母子家庭で苦労もしただろうし、父親を憎んでる可能性だってあるってことか。結婚しても上手くいとは限らないものね……」 「子供のことを考えての決断なのかもしれないね」 「それにほら、零士君のお父さんが結婚に大反対したって噂あったじゃない。そっちの関係もあるかもね。でも、そう考えるとなんか切ないな……」 あっ…… 彼女達の会話が私の疑問を全てクリアにしてくれた。 そういうことか……零士先生と薫さんには、バレるような嘘でも付き通さなくちゃいけない事情があったんだ……
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