あなたの傍に居たくて……

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知りたい。零士先生の本当の気持ちが知りたい。けれど臆病な私はズバリ聞く勇気がなく「ごめんなさい……大丈夫だから」そう言うだけで精一杯。 『最近はArielの個展準備もあったから疲れていたのかもしれないな。付き合わせて悪かった。送って行くから少し待っててくれ』 「うぅん、もうタクシーに乗ったから……」 消え入りそうな声でそう言うと唇をグッと噛み締める。 『そうか、じゃあ、明日のモデルはやめておいた方がいいな。もう仕上げだけだから希穂が居なくてもなんとかなる。ゆっくり休んでくれ』 あ……そうだった。明日はモデル最終日だ。 こんな精神状態じゃ、モデルなんてとても無理。でも、モデルが終わればArielの個展があるし、零士先生とふたりっきりになれるチャンスは暫くないかもしれない。 疑惑を抱えたまま何日も過ごす方が辛いよね。今夜一晩、自分はどうしたいのか冷静になって考えてみよう。そして明日、彼の本心を聞く。 「……いえ、行きます。必ず行きますから」 『そうか? 来てくれるのは嬉しいが、無理するなよ』 私の決意を知らない零士先生は明るい声で電話を切った。 そしてマンションに帰り、温めのお風呂に浸かって冷静になろうと努力してみたけど、それは容易なことではなく、考えれば考えるほど気持ちは激しく乱れ、止めどなく流れる涙が頬を濡らす。 ――本当は、零士先生に本心を気かなくても答えは出ている。 零士先生が好きなのは薫さんだ。それを知ってしまった今、今まで通り零士先生と一緒に居ることはできない。好きだから……零士先生のことが大好きだから……できない。 あぁ……零士先生…… 堪らずバスタブにしがみ付き泣き崩れると、自分の嗚咽が浴室の中で大きく反響して更に悲しみが増していった――
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