運命のイタズラ

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そんな……矢城ギャラリーがなくなっちゃうなんて……うそでしょ? 「それほど儲けがあるワケじゃないしね。固定資産税もバカにならないのよ」 薫さんは淡々と話していたが、私はあまりのショックで言葉も出ない。 「以前から矢城ギャラリーを譲って欲しいって言われててね、その人は、私が働いている画材屋の社長で、美術品のディーラーをしている人なの。 画廊もいくつか経営していてるから思い切って話しをしたら是非にって言ってくれて……さっき、社長と売買契約を交わしてきたの」 もうそこまで話しが進んでいるんだ…… 「その話しは、館長も了解しているんですか?」 詰め寄る私に薫さんは大きく頷き、館長の意向で引き渡しはギャラリーに入っている予約の個展が全て終わる三ヶ月後になったと…… 全然納得出来ないが、館長がいいと言うのなら私が反対してもどにもならない。 「そう……ですか」 ガックリ肩を落とし項垂れていると薫さんが私の背中を擦り「ごめんなさいね」と呟く。 「それでね、ここからは希穂ちゃんのことなんだけど、希穂ちゃんはここに住んでるから、一度に住む場所と仕事を失うことになるでしょ。父さんもそれを一番心配してて、だから、そこは力になりたいと思って……」 薫さんが言うには、薫さんが勤めている画材屋さんの自社ビルの二階に、オークションで競り落とした作品を一時的に展示しているちょっとしたギャラリーがあるそうで、そこに併設されたカフェで人を募集しているらしい。
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