運命のイタズラ

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まさか、あのArielの正体がこんなところで明らかになるとは……それに、Arielが日本人だったってことも衝撃だ。 「……って、社長は思ってるみたいだから……」 「えっ? 思ってるみたいって?」 薫さんの話しによると、春華堂の社長が奥さんと離婚したのは、今から十八年程前。ある日突然、離婚届を突き付けて家を出て行ったそうだ。 画家だった奥さんは展覧会で知り合った若い画家の青年と恋仲になり、それを知った社長は激怒してその青年画家が日本で活動ができないように様々な所に手をまわし彼の創作活動を妨害したらしい。 そうすれば、生活が苦しくなった青年画家を見限って自分の元に戻ってくると思ったそうだが、結局、奥さんはその青年画家と共に活動の地を求め日本を離れた。 そして、月日が流れ今から三年前、Arielという画家が突然すい星のごとく現れ、脚光を浴びることなる。 「社長はね、Arielの作風を見て、すぐに元妻の理絵(りえ)さんの作品だって分かったそうよ。それに、アリエルの"ア"と"ル"を取れば"リエ"になるからって」 「じゃあ、Arielが自分の元妻だって、ちゃんと確かめたワケじゃないってことか……」 「ええ、でも社長は、Arielがプロフィールを公開していないのがその証拠だって言っていたわ。夫と子供を捨てた自分の過去を知られたくないから公開しないんだって……」
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