運命のイタズラ

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「わぁ~新太さんの作品がCMで流れるんだ! 楽しみ~。それで、こっちにはどのくらい滞在できるの?」 『その打ち合わせ以外にも色々あるからな……十日くらいはそっちでホテル住まいになる予定だ』 十日間も日本に居るのなら、ゆっくりデートする時間もあるはず。これで、環ちゃんにおのろけ話しができると喜んだのだけど、新太さんが発した一言で一瞬にして顔が強張る。 『希穂が良ければ、ホテルに泊まりにおいで』 「と、泊まり?」 あぁぁ……ホテルに泊まるってことは、そういうことだよね?  次にそういう雰囲気になったら必ず成し遂げると意気込んでいたけど、それが現実味を帯びてくるとやっぱり不安になり、動揺してしまう。 でも、今度こそ覚悟を決めないと。前は怖くて新太さんのこと拒否ってしまったけど、いつまでも拒んでいたら彼に嫌われちゃう。それに、新太さんとそういう関係になれば、もう零士先生のことなんてなんとも思わなくなるばず。 そう言えば、以前、環ちゃんが彼氏と別れた時、言ってたな……男を忘れるには、男だって。 高校生の言葉に感化されるのもどうかと思うけど、少なくでも環ちゃんは私より恋愛経験が豊富だ。ここは、恋愛の先輩の言葉を信じるしかない。 未知の体験に対する羞恥と不安が消えたワケじゃないけど、めいっぱい明るい声で「分かった。泊まりに行く」と答えた。 いよいよ私もラストバージンだ……
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