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お金もないのに、見ず知らずの婦人の為に百万もの大金を肩代わりした私は、軽率でとんでもない大バカ野郎なのかもしれない。でも、人の弱みにつけこんで体を要求してきた零士先生もどうかと思う。
結局、零士先生もバージンキラーの新太さんとたいして変わらないただのスケベ男だったってこと。
今思えば、西島先生のパーティーで零士先生に会ったことが全ての始まりだったんだ。
あの時、零士先生が私と新太さんの関係を知らずスルーしてくれていたら、私が新太さんをぶん殴って終わりだった……
つまり、環ちゃんが薫さんに喋っていなかったら、零士先生に新太さんのことを知られることもなかったってことだ。そもそも私は春華堂に就職するつもりはなかったワケだし、こんな妙な展開にはなっていなかったはず。
そんなことを考えていたら、機嫌よくお肉を頬張っていた環ちゃんが急に大声を上げた。
「あっ! そういえば、希穂ちゃん、初対面のおばあちゃんに同情して百万円肩代わりしたそうじゃない。なんでそんなバカなことしたの?」
「色々事情があったのよ。それより、どうして私と新太さんのこと、薫さんに喋っちゃったの?」
環ちゃんが百万円のことを知ってるってことは、やっぱりこの親子はツーツーなんだ……
「ヤダ、私が自分からベラベラ喋ったみたいなこと言わないでよね。春夏堂の常務さんに問い詰められて仕方なく話したんだから!」
「えっ……常務に問い詰められた?」
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