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「そうだよ。希穂ちゃんが新太先生の本心を聞いたホテルで常務さんと偶然会ったんでしょ? その時、希穂ちゃんが泣いてたから常務さんが心配してママになんかあったのかって聞いたみたいでね。ママが私に電話してきたの」
でも環ちゃんは、私のプライベートのことだし、余計なことは言わない方がいいと思ったらしく、話しをはぐらかしていたそうだ。だが、痺れを切らした零士先生が電話を代わってしつこく聞いてきたから根負けして新太さんのことを話してしまったらしい。
「じゃあ、常務に新太さんのことを話したのは、環ちゃんだったの?」
「うん、常務さんは信用できる人だから、ま、いいかって思ったの。なんか問題でもあった?」
大アリだよ! と言いたかったけど、それより気になったのが環ちゃんが零士先生を知っているようなその口ぶり。
「ねぇ、環ちゃんは常務のこと知ってるの?」
「知ってるよ。だって、ママの中学時代の同級生だもん。何度も一緒にご飯食べに行ったことあるし、誕生日やクリスマスには必ずプレゼントもくれるんだよ。イケメンでめっちゃ優しい人だから大好き!」
「……大好き?」
「そっ! 常務さんに比べたら同級生の男子なんてガキに見えちゃってさ~やっぱ、大人の男っていいよね~」
目をキラキラさせて零士先生を絶賛する環ちゃんを見ていたら、なんだかモヤモヤしてきて我慢出来なくなり、つい「あんなセクハラ男のどこがいいの?」なんて言わなくていいことを口走ってしまった。
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