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ここまでハッキリしているんだもの。自分の非を認めて素直に謝らなきゃいけないって思った。けれど、心のどこかでまだ婦人の言葉を信じたいと思っている自分がいた。
だから直接婦人に聞いてみるとスマホを取り出したのだけど、零士先生は私の手からスマホを奪い取り、それを静かにテーブルの上に置く。
「既に確認済みだ。契約書に書かれていた電話番号はでたらめ。住所は存在するが、そこにはファッションビルが建っていたよ」
「あぁぁ……」
そして零士先生は、あの裸婦画を美術収集家から買い取ってもらえるよう大阪の美術商に頼んだと明かした。
「えっ、買い取るのですか?」
「覚えているよな? あの裸婦画には先客がいた。今回は事情を説明して、そういうことならと諦めてもらったが、あの絵が全く関係のない美術収集家の元にあると知ったら……どう思う? いい気はしないだろ?
そんな話しが広がれば、春華堂の信用はガタ落ち。大切な顧客を失う可能性だってある。この世界は信用が第一だからな。
そういうワケだから、美術収集家には言い値で買い取ると伝えてもらった。もちろん先客が再び購入を希望した時は元値の三百万で販売する」
「言い値ってことは、法外な金額を提示される可能性もあるってことですよね?」
「まぁな、しかし、信用を失うことに比べれば大したことじゃない」
私は自分の感情に流され、会社に大きな損害を与えてしまったんだ。
堪らず、差額は私に支払わせてくださいとお願いすると零士先生の腕が伸びてきて私の頭をポコンと叩く。
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