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「あ、あの……いきなり裸っていうのは、その……抵抗があります」
頬を染めて下を向くといきなり顎を持ち上げられ、小首を傾げた零士先生が私の顔を覗き込む。
「あぁ、そうだよな。でもお前は俺に借金を返さなきゃいけない。そうだろ?」
「は、はあ……」
「だったら俺の言うことをきくしかない。分かったら……脱げ」
心臓が破裂しそうだった。直立不動で零士先生を見つめ生唾を飲み込むと顎に添えられていた指が離れ、首筋を撫でて胸元に下りてきた。
「自分で脱げないなら、俺が脱がしてやろうか?」
甘い声でそう囁き、イジワルな笑みを浮かべてニットの襟元に人差し指を突っ込んでくる。
「ひっ……」
呼吸困難な金魚みたいに口をパクパクさせ、もう限界だ……そう思った時、零士先生が私を放して歩き出し、部屋の隅にあったキャリーバックに手を掛けた。
「これを開けてみろ」
言われるままキャリーバッグを開けてみれば……
「わぁ……綺麗」
それは初めて間近で見るウエディングドレスだった。
「別にお前がどうしても脱ぎたいって言うならヌードでもいいが、俺が描きたいのはそれを着たお前だ」
「えっ……」
完全にヌードだと勘違いしていた自分が恥ずかしくて堪らない。けれど「脱げ」だなんて紛らわしいことを言った零士先生も悪い。
だから「どうする?」と真顔で問う彼に向かって露骨に嫌な顔をしてしまった。
「どうすると聞かれたらドレスがいいに決まってます!」
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