甘美な視線

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結局、私は知りたいという欲求を抑えることができず、喫煙室に向かう。 「なんだ? お前も一服か?」 さっきまで敵意丸出しだった私に怒っているのか、零士先生は座ったまま目だけを動かし吐き捨てるように言う。 「いえ、常務にお聞きしたいことがありまして……」 そう切り出すと彼がため息を付いて自分の横を指差した。 「なら、立ってないで座れ」 「あ、でも……」 私が渋った理由、それは、ベンチタイプの椅子の真ん中に零士先生が大股全開で座っていて、勧められたスペースがあり得ないくらい狭かったから。 これじゃあ、零士先生と密着して座ることになる。 「いえ、ここで結構です」 当然、断ったんだけど、次の瞬間、零士先生の眉がピクリと動き、強引に腕を引っ張られて座らされた。でもそれは椅子ではなく、零士先生の膝の上。 「ひゃ~!」 予想外の展開に大声を上げ立ち上がろうとするが、私の腰に素早く手をまわした零士先生にそれを阻止される。 「こっちの方が座り心地がいいだろ?」 「なっ、放してください!」 ヤバい! ヤバい! こんなところを誰かに見られたらえらいことだ。 焦ってジタバタ抵抗するも、零士先生の力に敵うはずもなく完全に抑え込まれる。 「お願いしますぅ~放してください~」 パニックに近い状態で懇願していると零士先生の寂し気な声が耳元で響いた。 「どうしてお前は、いちいち俺の言うことに反発するんだ? そんなに俺が嫌いか?」 「えっ……」
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