甘美な視線

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「二十歳になったらヌードを描かせてくれるって約束だったもんな。最後に描く絵はやっぱり、ヌードにするか……」 余計なことを聞いて墓穴を掘ってしまった…… 聞いたことを激しく後悔し、どうやって断ろうかと必死で考えたけど、舞い上がっているから頭の中は真っ白。だからめっちゃ恥ずかしい言葉を口走ってしまった。 「わわわ、私、まだ処女ですし……初体験する前に男性の前で裸になんてなれませんっ!」 ヤダ、私ったら、何言ってのよ! 自分にツッコミを入れ、バクバクと大暴れしている心臓をギュッと押さえる。が、零士先生は私の言葉を真に受けてしまったようで…… 「……ということは、処女じゃなくなったらOKってことか……」 「い、いや、そういう意味じゃくて……」 「なぁ、西島先生のパーティーの時にも言ったと思うが、お前のバージン、俺が貰ってやってもいいぞ」 「グホッ!!」 もうダメだ……今にも心臓が破裂しそう。 だが、そんな私の危機的な状況など知る由もない零士先生は、更に追い打ちを掛けるようなことを言って心臓爆破の起爆スイッチを入れようとする。 「十年経って立派に成長したじゃないか。もうお前を抱いても犯罪にはならないよな?」 「うっそ……」 多分、魂が半分抜けていた。体がカチンコチンに固まり、ただただ、真っすぐ前を見据え放心状態。 本当にこのまま零士先生と……そう思った時、頭に浮かんだのは、薫さんの顔。 あぁ、そうだ。零士先生には薫さんがいるんだ。
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