【プロローグ】

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日本海に面した県のとある地方都市。国内有数の豪雪地帯であり、新幹線の停車駅がある。 地方ながらも駅周辺の一等地には、百貨店やブランドショップが数多く建ち並び、この土地の人々の買い物のメッカになっている。 そんな駅前の目抜き通りから角をひとつ曲がっただけで、すぐ側にあるはずの喧騒がはるか遠くに聞こえる程、昼間は静かに眠っている街がある。 そこが目覚めるのは太陽が墜ちる頃。 色とりどりのネオンが灯り、行き交う人々の香水とアルコールの香りが、むせかえる程。この街だけが、闇夜にぽっかりと浮かび上がる。 煌びやかに、そして妖しく。
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