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その当時の私は日々悩んでいた。
遠距離の彼女と上手く行っていない程度の話では友人もほとんど真面目には取り合ってくれない。
私は親友にすら打ち明けにくい闇を抱えていた。
仕事はほぼほぼ順調ではあったが、とにかく借金に追われる生活であった。
原因を並べたら、自分可愛さの言い訳になるだけなのだが…
一度は会社の社長にまで知られて解雇されかけたが、社長は無知な私に情けをかけた。
そのかわりに転勤を要求されて受けた。
不祥事による配置転換である。
新規出店した店舗の人員不足という側面もあったようだが、少し新天地にも興味があった。
消費者金融の債務整理は会社の顧問弁護士と総務の部長が行ってくれた。
たしか30代になったばかりの私には額面で400万程の債務があったが、6社の金融会社に5年以上は返済を続けていたため、いわゆる過払い金が多額に発生しており。
処理後の返済必要額は40万円程度となり、それを会社に肩代わりしてもらって、1年間でその返済は済んだ。
その後、転勤先の岡山県にて大きな成果を上げたとは言えないまでも。
3~4年の間は社内でも影で給料泥棒と呼ばれているのは知っていたが耐え。
苦労しながらも1つ歳上の店長とともに店をなんとか切り盛りして、5年目にはようやく赤字経営を脱する事が出来た。
会社に対する負い目もいつの間にか薄れ、部下も少し増えて気持ちに余裕が出てきた。
当時は35か、36歳だったのだが。
抑え続けてきた遊び癖が一気に弾けた。
酒とギャンブルを繰り返すうち、ホステスの女やらその他いかがわしい類いの輩と付き合うようになる。
そこで詐欺のような話に引っ掛かり、悪い事にその頃ちょうど信用調査会社のブラック情報も解けたらしく、銀行と数社の以前取り引きのなかった消費者金融からは簡単に300万程借りれた。
人間落ちる時は早い、文字通り坂を転がり落ちた。
幸か不幸か会社では給料以外にも不定期の収入があり、生活は破綻しているのに。
自転車操業のやりくりは出来ていた。
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