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私は社長以上の人物に会った事がない。
側近の役員達には特に厳しいが、自身にも恐ろしく厳しい。
私自身もどちらかと言えば関わりたくない位に苛烈極まる人物である。
起床は午前3時であるらしい。
各社の報告書類や業務日報等を自宅に持ち帰り読んでいる。
5:30にランニングを始めて約1時間半かけて10km程走り体操して終える。
ちなみにこれは社員はいつでも参加して良い。
側近の役員達は半ば強要されている。
これを休日や天候を関係無しに続けている。
60代にして全く衰えを見せない。
還暦を過ぎてからは特に意欲的に行っている。
このランニングの際に重要な指示を出す事も多く、私も研修の1年弱の間は毎日参加させられていた。
社長が海外等に出張の時だけは休めた。
9:00から本社にて朝会議を行う。
各社幹部社員は外出の用事がない限り、これに午前中を過ごす。
指示が無ければ勝手に行動してはならない幹部社員も多い。
私の部署は現場主導の為、特に報告等無ければ朝会議に出る必要はない。
昼過ぎまで会議室には数人が残っているが、大概は指示を後回しにされた成績の悪い部署の人間である。
赤字が続いている会社や改善が見られない部署に対しては徹底的に冷徹であった。
社長を納得させる方策や改善案が出てこないならば何もしない方が良いと放って置かれる。
状況によって急務の案件があっても無視され面談が翌日に持ち越される事もある。
私のいる部署はグループ内でも収益力の高い位置にある為、平日は拘束される事は少ない。
大事な会議は土日祝日に行われている。
合わないと思うなら直ぐに辞めて良い。
志を持って入社してくる者なら拒まれない。
学歴や経歴、年齢、国籍も問われない。
通訳等の外国人社員も多数在籍している。
このような独特な文化と異様な雰囲気を持つ会社を他に知らない。
私も営業職で取引先の会社を数千社は見てきたが、ここまでの異質さは何処にもなかったように思う。
以前務めた会社では異端児として生きてきた私自身には案外しっくりきていた。
決して居心地は良くないが、刺激的で面白く感じるというのが本音であった。
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