美沙子へ

48/58
前へ
/58ページ
次へ
烏龍茶さんの実名を知った。 美沙子という名前だった。 彼女の実生活を綴ったノンフィクション作品が公開されていたのだが、入院生活中の病棟で起こる出来事が記されていた。 多少の脚色はあるのだろうが、主な内容は彼女の担当医とナースである二人の男性と恋仲になり彼等が彼女を奪い合うというような話であった。 …今となっては殆ど彼女の妄想も加わった作品であるように思うのだが、読み物として面白ければそれでも良いと思っていた。 しかし、話が進むうちにあり得ないと感じつつも友人のように接してくれる彼女の作品を夢中になって読んでいった。 序盤の方こそ衰弱した彼女の入浴やトイレ等の介助や着替えに男性ナース達が世話を焼いてくれる場面等に私はドキドキしながら読んでいたが、次第に少し心配になるくらい描写は過激になっていった。 医療行為のマッサージがあろう事か乳房や局部にまで及び、服用中の薬の副作用で敏感になっている彼女が病室で何度も昇天していた。 薬物中毒で自我を失う程の離脱症状に陥る場面には狂気が渦巻いていたり、孤独感からくる人恋しさからなのか彼女は医師とナースに安易に身体を許し、人目を忍んで病院内で性行為をしたり、回復するにしたがってはその医師とナースと外出してデートしたりホテルで性交したりと… なんだか目眩がするくらいにやりたい放題な内容であったが、本人は案外ケロッとしており聞けば現時点で彼等との関係が続いてはいないという事だった。 彼女の作品の魅力はエロ描写ではないと思っていたが、不覚にも今回の作品にも引き込まれて行ってしまった。 彼女が医師とナースに弄ばれただけなのではないかと不安になったが、しばしばエロネタのメッセージのやり取りもして盛り上がったりもしていたので、あまり気にしないように深く疑問に思わないように努めた。 また彼女の作品が毎日のように更新されては私はそれを読み、メッセージを送るという日々が1ヶ月程続いた頃だった。 ふと、意味深なメッセージがメールで届いた。
/58ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加