美沙子へ

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途中コンビニに寄ると彼女はビールを数本カゴに入れた。 …寿司店でノンアルコールビールにした意味は何だろう? 彼女はまだ病み上がりだし服用している薬も多数あるから酒は飲まないものと思っていた。 真っ昼間から飲酒しながらセックスするのはあまり私の趣味ではなかった。 ここ数年は多香子としかしていないが、多香子は酔った状態でセックスするのを異常に拒む為に私はそれにすっかり慣れてしまったからだろうか。 それに酩酊状態になると私は性的に不能気味となる場合があったのだった。 またしばらく歩いてホテルに着いた。 部屋に入り二人はソファーに座りとりあえず喫煙した。 あまり酔わない程度にねと言って、またビールで乾杯し、そして見つめ会ってからキスを交わした。 「会いたかったね」 『うん、すごく会いたかった。』 …女性心理はどうなのか解らないが男性はこの状況に到るまでに細心の注意を払い、努力を重ねて来ている。 緊張と興奮の扉が開く。 彼女がおもむろに立ち上がり浴室に向かう。 次の瞬間には惜しげもなく衣服を脱ぎ捨てていた。 それを私は追いかける。 驚く事に5時間程滞在した内の3時間はずっと行為に及んでいた。 時間をしばし忘れた。 彼女は予想していたよりも性欲が強かった。 若干辟易したが、最初の日に盛り上がらないのも寂しい事と思う。 彼女が良いというので避妊をしなかったが、何故か彼女の体内には出せなかった。 本能的に避けた気もする。 愛しているなんて言ってみるが、まだお互いに知り得ない事も多く、愛し続けられるのか?さらには付き合い続けて結婚するのか? そこまではこの時点では解らない。 解らないが愛していると言って欲しいと乞われればそう応えざるを得ない。 私も40代である。付き合って行くにはどうしてもこの先々の事を考える。 やはり最初からセックスさせてくれる前提で会ってくれた彼女、美沙子とは少し慎重に付き合いをしなければならないと冷静に考えた。 貞操観念というものが薄い女性は危険である。 彼女にはそういう性質があるように感じた。
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