美沙子へ

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そしてその日の日付が変わる頃、私はようやく自宅に戻った。 どうしても帰ったらLINEして欲しいと言うので、メッセージを送ると反応はなく少しホッとした。 美沙子はさすがに疲れて眠っているのだろう。 私も疲れてすぐに眠りに落ちた。 そして翌日、いつものように電話をした。 私の気分は少し微妙なのだが、美沙子は私の事をいたく気に入ってくれたらしい。 私のような男の何が良いのかと聞けば、冷たくなった等と言い怒っているようであった。 惚れられるという事自体は悪い気はしない。 確かにこの先に付き合いを続けて同棲したり、結婚を考えたいとは言ったし、そうなれれば良いと思っていたが予想していたより彼女の想いが重たい。 これ以上グイグイ来られると私は拒絶してしまうであろう。 美沙子に悪気は無いのだが、毎日何時に帰るのとか何をして何を食べたのとか聞かれて答えてはいたがだんだん辛くなってきていた。 また12月に会いに行くからと約束していたが、毎日のように会いたい会いたいと言われる事にイライラしていた。 やはり彼女は精神面が幼い。 最初は病気や薬のせいもあるのだと思うように考えていたが、どうやら本来の性質であるらしい。 それに私の仕事もそこそこ忙しい日が続いていた。 毎日美沙子の相手をしていたら参ってしまう。 例のテレフォンセックスは極力避けた。 事実、私は23時には就寝して5時に起床するという毎日が続いていた。 そしてもう一つ大変申し訳ない事だが、彼女に対して何故か欲情していないという事に気付いてしまっていた。 これはもう努力とかではどうにもならない。 相性の問題であろう。 12月にまた会う約束は果たそうと思った。 そして美沙子に会って私はもう一度自分の素直な気持ちを確認してみようと思った。 彼女は私よりずっと若くて可愛い。 私のような裕福でもない中年男と付き合わなくても相手はこれからいくらでも見つかるだろう。
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