美沙子へ

56/58
前へ
/58ページ
次へ
このまま付き合うのは無理だろうな。 会計を済ませながら私はそんな風に考えていた。 その直後、トイレから出てきて彼女が言った一言は傑作であった。 「生理来ちゃった」 少し笑えた。 ならばもう帰りたいのが本音だったが、彼女は出来るからとその後ホテルに向かった。 私の心と裏腹に彼女があまりに嬉しそうにはしゃいでいるのを見ていて、断れなかった。 しかしこれで身体の関係は最後である。 抱いて欲しいと言われ了承したならば男としての仕事はきっちり果たそう。 美沙子は序盤から本能を剥き出しにして激しく何度も何度も絶頂し果てた。 壊れたスピーカーの大音量のような叫び声を上げ続けていた。 喘ぎ声の大き過ぎる女性は苦手である。 一方やはり挿入してみても私は達しなかった。 萎えていたのだ。 美沙子の表情は寂しそうだったが、それがよく見えないように照明を落としてから、一息ついて2回戦に及んだ。 彼女は避妊しないでと言うし、まさかこのタイミングで妊娠はしないはずである。 わずかであったが確かに経血が出てくるのを確認していた。 ままよと気合いを振り絞り、美沙子を揺さぶり突きながら彼女の体内に放出してやった。 快感はなかった。 仕事をようやく終えたのだった。 シーツのあちこちに経血が付着していた。 生理中の女性とセックスをした事など今までなかった。 ホラー映画を見終えたような気分であった。 惨劇は終わったのだ。 私は一人浴室でシャワーを浴びた。 そして彼女の血液を流して出てきて驚いた。 美沙子はまだ満足していないらしかった。 電動マッサージ器を股間に当てて、声を上げ自慰行為をしていた。 これにはさすがに閉口し、しばらく放っておいた。 テレビ画面に写るアダルトチャンネルのAV女優の方がよほど魅力的に見えた。 もう美沙子には触れたくなかった。 私は43歳になり加齢のせいもあるが元々性欲の強い方ではない。 私には美沙子の相手を続ける事が出来ない。 ソファーで何本目かの煙草を燻らせていると、ベッドで美沙子は自慰行為の末、絶叫しながら果てていた。 やれやれである。 不思議と笑いがこみ上げてきた。
/58ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加