美沙子へ

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多香子との関係。 しばらくは続くのだが、約半年で終わる事となる。 原因はいくつかあるにしても、結局は金銭面の行き詰まりだった。 彼女はスナックや昼間のアルバイトを続けてはいたが、風邪や持病の喘息を理由によく休んだ。 もともと身体が弱い面もあり、聞けばまた仕方ないとは思っていたが、働く意欲が欠けているなとも感じていた。 結局アパートの家賃や光熱費のみならず、病院の費用等も足りなければ、結局は私に泣きついてくるのが解っていたからだ。 「今月もヤバいの。なんとかなるかな?」 毎月月末の家賃の支払日が近付けば、決まり事のように連絡がきていた。 それを煩わしく思いながらも、ほぼ毎回工面していた。 既に述べている通り、私は借金返済に終われる身であり、当時毎月の手取りは約25万程度であったがそこから12万は返済に充てていた。 家賃や光熱費で6万は支払っていた。 残りの7万で食費その他をやりくりしていた為に、そこから更に2~3万でも出ていくと。 全く余裕はなかった。 自身の食事代を削ったり、時に電気ガス水道が止まるの事も度々あった。 年に2度の賞与は20~30万程度出ても、気休め程度にしか感じられず。 溜まった未払いのものを精算したりするうちにすぐに消えてしまっていた。 一応、2人のこの間の金銭のやり取りは貸し借りという形にはしていたが、ある時私が困って彼女の部屋を訪ねると醜い言い争いになってしまった。 この頃の私は何度も、生活を立て直すにはこの際同居しようと提案していたが、彼女はそれを拒み続けていた。 『こんなの付き合ってるなんて言えないやないかッ!』 私はそんな台詞を吐いて部屋を出た。 また翌日は電話で似たようなやり取りをしては。 「あんたなんかもう電話してくんなやッ!」 彼女もそんな捨て台詞を吐いて電話を切る。 そんな泥仕合の夜が幾度となく続いた。 もはや男女関係等と呼べたものではなかった。 ある日疲れ果てた2人は電話でいつものように罵り合った後、しばらくの静寂を置いてどちらともなく乾いた笑い声を上げた。 「もう終わりにしよな…」 『…わかった、もう無理やな。』 これで、多香子との関係は終わった。 少なくとも私はそう思っていたのだが。
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