8人が本棚に入れています
本棚に追加
/58ページ
その後、1ヶ月程過ぎた。
不意にスマホを弄っている時に別れたはずの多香子からのLINE通知があった。
あれ?
…確か彼女側でブロックをかけていた筈だが。
LINEのブロックというのは残酷にも感じる行為に思えて、私はとても腹が立った。
自身のトーク画面ではブロックされた事はわからないのだが、どんなメッセージを送ろうともブロックした側にそのメッセージは届かず。
決して既読マークは表示されない。
ブロックされた側はいつまでも誰にも伝わらない独り言をしばらく続けるうちに気付く事になる。
LINEのトークに慣れてしまってからの、通常のメールのやり取りは何だか物足りなく苛々した。
彼女にはメールを送信しても当日の夜もしくは翌日に何らかの返答はあったがいつも痺れを切らして電話を何度もかける事になる。
夜にようやく返答があるが、殆どが苛々している所から会話が始まる為に全く冷静な話にならない。
破局して当然であった。
多香子のLINEメッセージには謝罪はなく、
「私にはあなたしか頼る人が居ないので、助けて」
とあり。
『お金の事以外で協力出来る事ならするよ』
私はそう返答した。
何度も金はないと言っているのに、続けてメッセージが届く。
「それなら私を買ってください」
「3万でいいので買ってください」
…全く呆れた内容に、解ったからしばらく待っててと返し、更に金を工面してやった。
そんなセックスはしたくなかったので、今回も貸すことにした。
記録は付けていたが、総額は200万程度になっていた。
しかし、交際中も半年の間に2度しかセックスはしていなかったので、私の荒んだ心の中にざわつきはあった。
遊ぶ金などなかったので、性欲は専ら自慰行為で済ませるしかなかった。
数少ない彼女とのセックスの記憶は脳裏にこびりついていた。
私はその映像を脳内で再生して自慰行為を繰り返していた。
いっそ、多香子を娼婦か風俗嬢みたいな存在にしてしまおうという思考がもやもやと湧いてきたが、頭を振ってかき消した。
最初のコメントを投稿しよう!