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*・゜゚・*・Chapter 3・*・゜゚・*
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「いけません、お嬢様!」
「どうして」
「王女であられる貴女が剣術の真似事など、危ないです!」
「真似事じゃないわ、真剣に剣術を習いたいの!王女だからって護られてばかりじゃいられないわ。自分の身くらい自分で護れるようになりたい」
剣技場近くで言い争う声が聞こえた若き騎士団長フェリックスは剣を振るう手を止めた。まだ年端もいかない王女のじゃじゃ馬ぶりは城中の誰もが周知のことだった。しかしその言動に振り回される者はいても、誰もそれを悪く言う者はいなかった。
ワガママを言っているわけではない。過保護にされて何もできなくなる自分が嫌だと、人の手を煩わせるような人間にはなりたくないと常々言っている王女に皆は内心微笑ましいと思っている。
「まーたメイドを困らせてるのかエマ様」
「…フェリックス!」
「騎士団長殿……」
汗を拭いながら剣技場の外に出ると、縋るような瞳のメイドと、キラキラと目を輝かせたエマがこちらを振り返った。
「あんたみたいな細腕で剣が振るえるのか?それに、生半可な気持ちじゃあすぐに怪我してぴーぴー泣くことになるぞ」
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