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少し揶揄うようにエマを見下ろすフェリックスに、エマは向き直った。
「遊びとか冗談で言ってるつもりはないわ。護られてばかりのお荷物じゃ嫌なの。みんなと同じように私も誰かを護れる存在になりたい」
すっとまっすぐにフェリックスを見上げた蒼い瞳に、彼は引き込まれた。その強い眼差しは未来をも見通せそうなほど澄み渡っていた。
「……いいだろう。だったら俺が直々に稽古をつけてやるよ、王女さまっ」
その日から時間を見つけてはフェリクスを呼び出し、剣技場へ通うエマの姿があった。
素質は十分であったらしく、メキメキと上達していった。軽い体躯を駆使して、今では騎士団長に次ぐ実力とまで言わしめた。
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