*・゜゚・*・Chapter 3・*・゜゚・*

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「なあ、エマ。お前は確かに強くなった。正直俺が見てきた中でいちばんの出世株だ」 「ふふっ、なに?突然」 稽古が終わったある日のこと、ふとフェリックスが話し始めた。剣技場の外のバルコニーは日が落ちて月の光だけが頼りだった。 彼は欄干にもたれ掛かってエマを振り返る。月の光は夜闇の中に彼女の抜けるような白い肌を際立たせた。 「でも、やっぱりお前は俺が護る。それが騎士団長である俺の役目だからだ。後もう一つ…」 そこで言葉を切ると、納得できない、と詰め寄ってきていたエマの手をそっと取った。 「……お前が好きだからだ」 「……っ」 思いもよらない告白にエマは言葉を失った。それも見越していたようにフェリックスは苦笑する。 「誰かの為にって頑張るお前を見てたら、いつの間にか惹かれてた。立場も身分も違うのは分かってる。それでも伝えたいと思った」 どうしようもないな。そう言って照れ笑いする彼は今まで見たことのない顔だった。月に照らされたその精悍な横顔があまりにも綺麗だとエマは思った。気づけばその胸に飛び込んでいた。 「お、おい」 小さく聞こえる彼の心臓の音は少し早かった。 「私も……あなたが好きよ?」 見上げた彼の唇に触れるだけのキスをした。彼は大層驚いた後、ふっと笑ってエマの腰に腕を回した。     
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