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*・゜゚・*・Chapter 1・*・゜゚・*
晴天。木々の合間から差す柔らかな木漏れ日の下、白いシーツを洗濯する。昨晩添い寝した誰かさんが涎をくって汚したらしいそれを、一人の乙女が鼻歌とともにザブザブと豪快にしごいている。彼女の周りにはひらひらと羽を瞬かせた光が飛んでいる。それらが妖精だと知り、エマの力になってくれることになったのは森に追放された一年ほど前のこと。ボロボロの満身創痍で倒れる寸前だった彼女を、森の奥の小さな小屋に運び、知らぬ間に介抱してくれたのが出会い。妖精達はエマが遠くに見える城の王女と知っていた。
「エマはなんでもできるんだねー」
「そうかな。小さい頃から自分で何かすることが好きだったの。部屋を掃除したり、お菓子を作ったり花を育てたり。両親もそれを喜んでくれてたから」
今ならこんな話もできる。彼らと出会った頃には、口に出すのも嫌だった両親の話。
「さあ!綺麗になったわ!これを吊るしてくれる?妖精さん達」
「お安い御用!」人間の姿に変わった彼らは洗われて真っ白になったシーツを受け取り、手製の竿に吊るし掛けた。ふと一人が身体に見合わぬ大槍を持ち陽気に笑った。
「はっはっはっ!乾け乾け~!」
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