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大槍をぶんっと一振りすると、忽ち大風が一陣通り抜けた。そこにいた誰もが吹き飛ばされそうになるほどの威力に、地面の草も森の木々もざわざわと大風に身震いするように震えた。
「わわっ何するんだよー!せっかく干したのに飛んで落ちちゃうじゃないかー」
「無事だな」
巻き上がった風に飛ばされそうになりながら、手製の心許ない竿を二人掛かりで押さえる。大槍の本人は尚も面白そうに笑っていた。
未だやいやい言い合う六人の妖精達を優しく見守るエマは、一人眠り続ける妖精を窓辺に連れ出した。小さな小さな赤子のように眠るその子を愛おしげに撫でながら。
「賑やかね。いつかあなたが目覚めたら、もっと楽しくなるのかしらね」
微かな健やかな寝息を聞きながら昼下がりの休憩を終えた。
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