第三章

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*   *   *  負傷したリーベはそれから三日三晩眠り続けた。  四日目の夕方、不意に現れたデネヴァが目蓋を閉じたままのリーベをのぞきこみ、 『なんだい、まだ快復しないのかい。つくづく面倒にできてるねぇ、人の子は!』  などと言い、寝台の上でくるりと旋回。 『ついでだよ』  と言い残して消えた。  リーベの意識が戻ったのはそれから少ししてからのこと。  蛇に負わされた怪我はほとんど治っていた。 「ついでで治しちゃうんだから、やっぱり精霊の力ってすごいもんなんだな」  沸かした湯でリーベの身体を拭き終わり、塞がった傷口をつくづくと眺めやる。  先ほど熱いスープを口にして、リーベの顔色もすっかり元に戻っていた。
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