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第12節「悠未(ユーミ)の気持ち」
早朝。焔が復興部の部室を訪れると、悠未が既に来ていた。
机の上に、ホッチキスで閉じられた紙の束が置いてある。プリントアウトされたばかりなのか、インクの匂いがする。
「脚本が書けた」
「本当に速かったな」
「寸評を頼む」
「ああ」
焔としては既に流れに乗っている感覚があり、正直どんな話だろうと作画に気持ちを込めようという心持ちだったが、もちろんお話が面白いに越したことはない。
しばし、悠未が作りあげた作品に没入してみる。
復興部の部室に紙をめくる音が響く。加えて、時々ブハっという焔の吹き出す音も聴こえたりする。
結論としては、悠未が脚本を書いてきた『落ち込み妹と全裸の兄』は面白かった。疎遠になっていた妹と兄が、その関係をもう一度作り直していく……というメインのストーリーラインはあるのだが。
「基本ギャグなの、意外だ」
「ギャグじゃないと、全裸とかできないだろ」
「いいんじゃね? ちょっと台詞が分かりづらいとことかあるけど」
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